この命を、どう豊かに生きるか。
私はずっと、人を幸せにしたいと思って生きてきました。
その思いから助産師になり、産科やNICUで働きながら、たくさんの「生まれる瞬間」に立ち会ってきました。
いろいろなお産があり、いろいろな家族がありました。
喜びに満ちた瞬間もあれば、思い描いていた通りにはいかない出産もあります。
小さな身体で懸命に生きようとする赤ちゃんと、その命を見守る家族。
たくさんの命と向き合う中で、私はずっと「人が幸せに生きること」について考えていたのだと思います。
けれど、そんな私自身が、うつになりました。
人を幸せにしたかった私が、自分の人生を見失いました。
人のために。
期待に応えなければ。
こうしなければいけない。
そんな思いの中で生きているうちに、いつの間にか私は、自分が本当はどうしたいのか分からなくなっていました。
時間に追われ、やるべきことに追われ、次のことを考え続ける毎日。
他人の言葉や価値観に振り回され、「こうしなければいけない」という鎖に、自分自身を縛りつけていたように思います。
うつになり、立ち止まらざるを得なくなったとき、初めて自分の人生について深く考えるようになりました。
私は、どう生きたいんだろう。
その問いは、その後の私の人生につながっていきました。
南インドで、久しぶりに「感じる」ことを思い出した。
その後、私はインドと出会い、南インドを訪れるようになりました。
そこで強く感じたのは、人々の温かさや、人との距離の近さ。
そして、五感をたくさん使って生きているような感覚でした。
裸足になって、石の上を歩く。
土の上、大地を歩く。
鈴の音を聞く。
お香の香り。
たくさんの花の香り。
鮮やかな色。
食べ物の味。
人の声。
それまでの日常とはまったく違う刺激の中に身を置いていると、いつも頭の中をいっぱいにしていたものから、少しずつ切り離されていくような感覚がありました。
考えるより先に、感じる。
南インドの文化や人々の暮らしに触れる中で、私は、自分とは違う時間の流れや、価値観、生き方があることを知りました。
違う価値観に出会うと、自分の人生が見えてくる。
南インドに行ったから、すべての答えが見つかったわけではありません。
でも、
「こんな考え方もあるんだ」
「こんな暮らし方もあるんだ」
「私は、何をそんなに急いでいたんだろう」
と、それまで自分が当たり前だと思っていたものを、少し離れた場所から見られるようになりました。
違う世界を見ることで初めて、自分がどんな世界の中で生きていたのかに気づく。
そして、
私は本当は、何を大切にしたいんだろう。
と考えられるようになりました。
長く生きることだけではなく、どう生きるか。
助産師だった私は、命を守ること、身体が健康であることの大切さを知っています。
もちろん、健康で長く生きられることは、とても大切です。
でも今は、それだけではないと思っています。
与えられた命を、どれだけ豊かに生きられるか。
身体が健康であること。
心が健康であること。
大切な人とつながること。
自分が何を大切にしたいのかを知ること。
そして、自分で自分の人生を選んでいくこと。
私は、そうしたこと全部を含めて「生きる」ということを考えていきたいと思うようになりました。
生まれることを支えてきた私が、これから支えたいこと。
助産師として働いていた頃の私は、この世界に命が生まれてくることを支えていました。
そして今、私がやりたいのは、その先です。
生まれてきた一人ひとりが、
誰かの価値観だけで生きるのではなく、
いろいろな世界を知り、
いろいろな価値観に触れ、
見て、聞いて、触れて、感じて、
その中から、
「私は、どう生きたいんだろう。」
と、自分自身に問いかけられるきっかけをつくりたい。
株式会社ミーナッチを通して、文化や学び、体験、人との出会いを届けていきたいと思っています。
答えを教えたいのではありません。
知らなかった世界に出会うことで、自分自身の答えを見つけるきっかけを届けたいのです。
何度でも、自分に戻る。
私自身、自分を見失ったことがあります。
だから、一度決めた生き方をずっと守らなくてもいいと思っています。
迷ったら、また考えればいい。
誰かの価値観の中に入り込んでしまったら、また自分に問い直せばいい。
人生の段階が変われば、大切にしたいものが変わることだってあります。
何度でも、自分に戻る。
助産師として「生まれること」に寄り添ってきた私が、
これからは、生まれてきた命が、その人自身の人生を豊かに生きることに寄り添っていきたい。
それが、私が株式会社ミーナッチでやっていきたいことです。
株式会社ミーナッチ
代表取締役 山田 美穂
